そもそもCRMとは

世の中の変化(政治・経済・テクノロジー)や消費者ニーズの多様化によって、物が簡単に売れなくなった時代に、売上・利益を効果的・効率的に上げるためにはどうすればいいのか?そこがCRMの出発点でした。

マーケティングの世界には、[1:5の法則]というものがあります。新規客の獲得には既存顧客の5倍のコストがかかるというものです。他にも、[5:25の法則]というものがあります。これは、既存顧客の離反率を5%改善すれば、利益率が25%改善されるというものです。こういった具体的な数字も相まって、CRMという概念が取り入れられ既存客の満足度向上させることで効率的に売上と利益を確保していこうという動きが生まれました。

とは言え、新規顧客の獲得が難しいからといって、既存顧客への対応だけで良いと言うわけではありません。既存客だけではお客様が成長しそのお客様からの購入額が増えない限り自社の売上の拡大は見込めません。従って、新規客の獲得もまた欠くことのできない営業の目標です。重要なのは、自社のビジネスモデルに照らし合わせて、既存と新規にバランスよくリソースを割くことだと思っています。

顧客戦略の優先順位をCRM的に考えれば、①既存顧客の維持②既存顧客内の取り扱いシェアの拡大(アップセル・クロスセル)③新規顧客の創出の順番で検討することになると思います。

ただ、実際の営業の現場では既存顧客のフォローに追われるものの競争の激しさやサービスの向上ができないことで離反を止めることもできず、その上、新規客へのアプローチへの十分な時間が取れない結果、新規客も創出できないという二重苦の企業があるのではないでしょうか。

CRM戦略とは、顧客満足を上げることで既存顧客を維持・拡大し、かつ効率的に新規顧客を創出する戦略に他なりません。そして、CRM/SFAシステムはCRM戦略を効率よく実行するための道具(ツール)であると考えています。CRMシステムを使って結果を出すということは平たく言えばこういうことになるかと思います。

顧客満足の最大化

顧客満足度の向上とは具体的に何を表しているのでしょうか?

そこを明確に定義しないと、売上・利益向上のためのビジネスプロセスの向上も、そのためのCRMシステムの活用もうまくはいかないと思っています。

通常、顧客が満足するのは、自分が想像(想定)していたサービスを超えた時に感じると言われています。

例えば、顧客がコミュニケーションに不満を抱えたまま(様々な連絡が遅い・無い、問い合わせの回答が遅い・無いなど)で金額・納期通りに収まったプロジェクトより、納期は遅れてしまったが密な関係の元、作業を終えたプロジェクトの方が顧客満足が高かったなどというケースがあります。

このように顧客満足感というのは非常に複雑な状況の元、成立する代物だと思います。

顧客満足は掛け算という言葉もあります。例えば、営業の素晴らしい提案によって、受注された案件も、その後の納品フェーズで顧客不満足を生む状況になれば、顧客の満足感は、×0=0になってしまうことがあります。

我々は顧客接点プロセス全体において、顧客満足を低下させることが無いような業務のプロセスの設計を行い実行しないと、顧客満足の最大化=自社の売上・利益の最大化を叶えることは難しいでしょう。

これからのBtoBビジネスにおけるセールス&マーケティングシステムは、特定の部署が使う単機能システムでは不十分です。顧客接点プロセス(マーケティング、セールス、サポート)全体をカバーし、全社で顧客情報を共有・活用できるシステムにする必要があります。そうすることで初めて顧客満足度をポイントを失くことなく最大化できると我々は考えています。