日報の是非

SFAの検討時に必ず議論されるのが[日報]機能ですが、販売している製品・サービス、営業形態の違いなどによってその重要性は異なっているように思います。

日本企業の日報はどちらかというと営業マンの行動管理的な目的の意味合いが強く、業務として書いてはいるが活用できていない企業が多いとも聞きます。SFAツールの中には日報を効果的に活用するためのツールなどもありますが、そもそも自社(製品・サービス・営業スタイル)に合うのかどうかの見極めが非常に重要だと考えます。

「日報を書く」のではなく、お客様との間で発生する予定・タスクを忘れないように管理するためのツールとしてCRMの機能を利用することをお勧めします。

要は営業マンが使っている手帳の電子化です。お客様との訪問予定や依頼事項への対応などを手帳だけで管理しようとすると、忘れ、漏れなどが発生する恐れがあります。システムを利用すれば、アラートを上げたり、タスクの状況を一覧で見たりすることが簡単にできます。また、データになることで行動を可視化することができるため上司や同僚からのサポートも受けやすくなります。

意味のない「日報を書く」行為を改め、自分の営業活動をセルフマネジメントするためのツールとしてCRMツールを利用すれば、結果的には、その情報はシステムの裏側で蓄積され活用できるようになっています。

営業活動のデータが商談に紐づいた時、更に効果的な活用が可能となります。いわゆるできる営業マンが商談をクロージングするまでにどんな動きをしているかが可視化できます。できる営業マンの動きをトレースすることで、営業組織全体の底上げが可能になります。逆に数字がなかなか上がらない営業マンの弱点も分かってきます。

ぜひ、意味のない日報はやめ、CRMツールで自分の営業活動を可視化しましょう。

(補足)日報を否定しているわけではありません。活用できていない日報なら書く工数を他に振り分けましょうというのが本旨です。

営業力の強化とは?

書店のビジネス書コーナーに行くと、たくさんの営業関連本が並んでいますが、多くの営業マンが営業力の強化を目的に藁にもすがる思いで読んでいるんだと思います。

これらの営業関連本は大きく二つに分かれていると思います。①個人の営業力のスキルアップを目指したもの②営業組織の強化を目指した営業マネジメントに関するものです。特にバブルがはじけて以降は、物が簡単に売れない時代になり、スーパー営業マン一人ではどうにもならなくなった結果、個人営業から組織営業への移行が叫ばれるようになりました。その結果、多くの営業マネジメント関連本が出版されています。

個人の営業スキルは普遍性が高いものが多いため、研修・座学・実践の中で個人で高めることが意識次第で可能です。しかし、営業組織力の強化の場合、その企業がいる業界、取り扱う商品・サービス、その企業の今まで培ってきた企業文化など、様々な要素を考慮した上で検討していく必要があるため容易ではありません。特に企業文化に関しては、従前のやり方を中々変えられないため業務プロセス変革の阻害要因になってしまい、CRM/SFAのシステム導入が失敗する大きな原因になっています。

CRM/SFAシステムは営業活動を効率化するお手伝いは出来ますが、営業力そのものを高めることはできません。営業力の強化そのものは、個の力と組織の力を[考え方][マインド][プロセス]のレベルからベストな方向にもっていかないと実現できないと考えています。

営業力の強化のためにお勧めしたいのは、システム導入検討に並行して営業コンサルタントにアセスメントをしてもらうというステップを入れることが有効だと思います。

そのフェーズを経ることで、自社の営業プロセスの良いところと悪いところが抽出できます。更には、プロセス改善まで出来るケースもあるでしょう。顧客接点プロセスをトータルマネジメントするためにも現行のプロセスの整理と出てきた課題の改善が出来ると、CRM/SFAシステムはより一層効果的に利用することができると思います。